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higa-design建築設計事務所(ヒガデザイン)

ブログ:中銀カプセルタワービル 内覧会


ちょっと前になりますが、銀座8丁目にある中銀カプセルタワーの内覧会に行ってきました。
この建物は1960年代に新陳代謝を意味する「メタボリズム」という建築運動で高度成長期の社会の変化に合わせて都市も建築も有機的に成長するという提案をもとに建てられました。
1972年竣工、黒川紀章設計です。
当時のパンフレットにはビジネスカプセルと書かれていて、ビジネスマンが平日はカプセルに寝泊まりし、週末は郊外の自宅へ帰るライフスタイルを想定しています。
新陳代謝という意味では工場で作られたカプセルを20数年後の時代の変化と共に入れ代わることも想定しいました。

残念ながら今までカプセルは入れ代わることもなく、設備をリニューアルするためのスペースが盛り込まれていないため改修も出来ていないそうです。



建物にはネットが掛けられ、カプセル内にはエアコンの屋外機を置くスペースがないので縦に見える冷媒管が風でゆらゆらと揺れています。

宅配ポストは当時のデザインを感じさせる良いデザイン。ただA4の書類が入らないそうです。

屋上兼二つの塔を結ぶブリッジから塔屋を見上げる

老朽化が激しい

カプセルとカプセルの間は20㎝程の隙間

階段状にレベルの異なる中廊下
廊下内にある電気メーターや消火栓などはピンクや黄色など原色に塗られていたそうです。

当時のものに限りなく近いカプセル。10㎡(およそ4畳半程度)の室内

ステレオなどはオプションで付けられたそうです。

船をイメージした丸い二重窓。外側は開かない。扇のように開くブラインドが二重窓の中にあったそうです。

ユニットバス。丸みをデザインに取り入れ狭さを感じさせないようにしている。

残念ながら全室お湯が使えないそうです。


別の部屋も見せてもらいました。

建築家が思い描いたコンセプトの新陳代謝が出来ていなく老朽化が酷い状態ですが、
この建物を愛するファンも多く、140戸あるカプセルの所有者はそれぞれ好きなようにカプセルでのライススタイルを楽しんでいるようです。

年内中には「この建物を残す」のか「大幅改修する」のか方向性が決まるそうです。

中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト
https://www.nakagincapsuletower.com/